岩滝の教育 3
岩滝町における寺子屋教育(3)


習字の指導に重点をおき、そのかたわら、読書、算術、作文、修身、行儀等を教えた。
教科書は、習字では「いろは」数字、名頭(ながしら)消息往来、家訓往来、謹身往来、用文章の類を用い、商人の子弟には商売往来を、職工の子弟には番匠作業往来を、農家の子弟には百姓往来を教えた。
國尽、名頭、消息往来は男女の2種に分けて教え、また書初、七夕、春秋席書には和漢朗詠集を用いた。
これらの習字手本は、単に之れを習字に用いるだけでなく、その文字を素読させたり、その意味を教えて読書の指導にも使った。
しかしまた、別に素読させることもあり、三字経、孝経、小学を教え、あるいは、童子経、実語経、四書、その他、今川古状揃、女大学のようなものも教えた。
算術は、八算、相場割、差分、平方術まで教えた。
しかし、素読と、算術は必須科目ではなく、父兄の依頼、又は生徒の希望に任せたらしい。
習字の手本は書簡に用いる文章が多かったので、之を応用して作文を教え、素読の教科書の多くは修身の書であったので、之を応用し、或は談話を加えて修身を教えた。
男女とも6才位から始めて少くとも3、4年、又は6、7年間修業した。
退学は大体12、3才であったが、別に卒業の期間がきまっているわけではなく、男子は稀には17、8才に至るものもあったし、女子は11、2才まで修学し、それから裁縫の稽古に移るのが例になっていた。女子あまり永く勉強すると、かえって悪評する風習があった。


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