丹後ちりめんとは?
丹後ちりめん
独特のシボが美しい丹後ちりめん。他の織物とはまったく異なる趣や風合いを持ちますが、どのようにしてつくられているのでしょうか。準備工程から出荷まで、全製造工程について詳しく解説します。
ちりめんの最大の特徴“シボ”はどのように作られるのか?
「丹後ちりめん」の最大の特徴は「シボ」にあります。シボとは生地全体できた細かな凹凸のことで、これは撚りのない経糸と、強い撚りがかかった緯糸を使って織り、精錬する際に緯糸の撚りが戻ることで生み出される風合いです。
シボがあると、生地の表面の凹凸が光を乱反射するため、シルクなど素材の美しさが一層際立ち、色合いに深みを感じられるようになります。そうした見た目の美しさに加え、しなやかさが増すためシワになりにくいなど、機能面でも優れます。
丹後ちりめんの製造工程
そのような特徴を持つ丹後ちりめんは、一体どのようにつくられているのでしょうか。シボを生み出す“撚り”はどういう作業でかけられるのか。製法について詳しくご紹介します。
糸繰り(いとくり)
生糸は大枠に巻き返したカセと呼ばれる状態で入荷するのが通常です。その生糸を小枠に巻き取り直します。この糸繰りは製品の仕上がりに影響する大切な工程で、匠の技が必要とされます。
整経(せいけい)
製織の準備はまだまだ続きます。たて糸に一定の張力をかけてながらビームやドラムと呼ばれるものに巻き取ります。この作業により生糸の本数や長さ、張力が整えられます。
撚糸(ねんし)加工
次に、よこ糸に強い撚りを掛けます。この作業には「八丁撚糸機」という丹後固有の機械を用いて、糸1メートルにつき3,000回以上の撚りをかけます。
製織(せいしょく)
ようやく織りの作業です。専用の織機にたて糸とよこ糸を掛けて、織物を織り上げます。
精練(せいれん)
生糸からセリシンという物質と汚れを取り除きます。この工程により織物から濁りが消え、艶のある白銀色に変化し、風合いも柔らかくなります。
乾燥
水洗いして脱水した後、乾燥機で乾かします。乾燥の具合により風合いが変わるため、丹後ちりめんの種類によって方法が選ばれます。
幅出し(はばだし)
織物は精錬などにより縮んだ状態になっています。この工程では引っ張りながら、熱を加えてもとの幅、長さに戻します。
検査・出荷
完成した丹後ちりめんを検反機という専用の機械で検査します。合格品に丹後ちりめんの証として印を押したら出荷です。